第三話 綾崎 恭子と綾崎 鏡子

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俺の目には俺が今まで見たことのない天井がうつっている。 だって、この家すなわち綾崎家にくるのは初めてだから。 そして、なぜ俺が綾崎家にいるかという事を説明するには1時間ほど前から説明しなければならない。 現在(5時37分)より1時間前(4時37分) 「魔術師よ」 綾崎 鏡子は胸を張って偉そうに確かにそう言った。 「ハァアアッ。お前、頭大丈夫か?」 普通の人なら皆誰しもそんな反応をするだろう。 考えてもみろ。 高校三年生の女子が「何者だ?」っと聞かれて「魔術師だ」と答えたのだ。 そう答えられた瞬間誰だって普通なら「こいつはきっとアニメの見すぎの頭のおかしい奴だ」と思うだろう。 俺も人を殺している事以外は普通の人間だ。 だから俺も普通の人がする普通の反応をした。 そしたら綾崎は「そっか。信じてくれないんだ。それなら私が魔術師だっていう証拠を見せてあげるよ」なんて事を言っている。 でも、俺は魔術なんてくだらない物は信じていない。 だから「ああ。はいはい。じゃあ見せてくれよ」と言ってテキトーに相槌を打っておいた。 そしたら綾崎は右手の人差し指で近くにあった窓ガラスを指差す。 すると綾崎の右腕が一瞬光ったと思ったその瞬間 「パリンッ」っと音をたてて窓ガラスは粉々に砕けた。
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