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時は19世紀───
世界各国では国どうしの領土を巡る争いが激化し、醜い争いがあちこちに広まっていたが、ここドイツ、特にミュンヘンは至って平和なものだった。
国を治める主が領土争いに興味がなく、戦争に参戦しないのか、それとも戦を仕掛ける頃合いを伺っているのか、主の狙いは定かではない。
いずれにせよ、今の主は対した器の持ち主と言う事に変わりは無いだろう。
一方、ミュンヘン市民達はというと毎日平和な日々を過ごしている為、やたらと呑気な輩が多くなってきていた。まぁ、俗に言う『平和ボケ』という奴だろう。
犯罪や大きな事件はあまり無いし、周辺住民どうしのトラブルなんて話も聞かない。
数日前、ミュンヘンを視察に訪れたフランス外交官も
「ここは平和過ぎる」
とこぼしていたという。
だから街の警察や、平和を祈る為に通う教会はすっかりおざなり状態となっている。──平和過ぎるというのも少し困ったものなのだ。
しかし、そんな平和なミュンヘンに突如転機が訪れた。
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