†始まりの鐘の音†

3/14
前へ
/120ページ
次へ
時は19世紀─── 世界各国では国どうしの領土を巡る争いが激化し、醜い争いがあちこちに広まっていたが、ここドイツ、特にミュンヘンは至って平和なものだった。   国を治める主が領土争いに興味がなく、戦争に参戦しないのか、それとも戦を仕掛ける頃合いを伺っているのか、主の狙いは定かではない。 いずれにせよ、今の主は対した器の持ち主と言う事に変わりは無いだろう。     一方、ミュンヘン市民達はというと毎日平和な日々を過ごしている為、やたらと呑気な輩が多くなってきていた。まぁ、俗に言う『平和ボケ』という奴だろう。 犯罪や大きな事件はあまり無いし、周辺住民どうしのトラブルなんて話も聞かない。     数日前、ミュンヘンを視察に訪れたフランス外交官も 「ここは平和過ぎる」 とこぼしていたという。     だから街の警察や、平和を祈る為に通う教会はすっかりおざなり状態となっている。──平和過ぎるというのも少し困ったものなのだ。     しかし、そんな平和なミュンヘンに突如転機が訪れた。
/120ページ

最初のコメントを投稿しよう!

139人が本棚に入れています
本棚に追加