4人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
そこでふと本当に弦切れてたっけと思う。
でも、あいつならやっといてくれるさ。
たとえ切れてないって文句を言ってきても、あいつなら許してくれるさ。
「岩沢~、30分経ったよ~?」
またあの声が聞こえてくる。
もう経ってしまったのかと、目をこすりながら、岩沢は起き上がろうとする。
ただ、布団から出れない。
「寒い・・・」
息を吐くと、息は白かった。
もう起きなくてもいいんじゃないか・・・なんて思いが芽生える。
「岩沢!早く起きろって」
でも、やっぱり起こされた。
「はいはい、起きるから、お湯を沸かしておいてよ」
そう言うと、布団から抜け出す。
クッキーを食べ、コーヒーを飲んでいると
「新曲は?」
と語りかけてくる。
ああ、そういえば新曲を聞かせる約束だった。
「まだ練習中なんだけどな」
そう言うと、岩沢は弦が切れてないギターを背負った。
最初のコメントを投稿しよう!