反乱はピクニック気分で

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「…まいったなぁ」 ラウールは、重い足を引きずるようにして司令官の元へ向かっていた。 そもそも、自分がなぜ直談判に行かねばならないのか釈然としない。 階級からいえばアンドラーデだってレイナだって同格だ。 もっといえば、司令官のメンサが間抜けだから悪い。 地位を利用して軍需物資を横流しし私腹を肥やしていたことではない。 いや、無論それは悪いことだ。地位に関わらず弾劾されてしかるべきだろう。 しかし、ラウールが腹が立つのは、司令官の立場でありながらなぜもっとうまくごまかせなかったのか、ということだ。 それもよりによって遠征先で一般兵士たちにばれるとは。 上司の背信行為を知った兵たちの怒りは甚だしかった。横流し品に兵糧が含まれていたことが輪をかけることになった。 それは兵役へのボイコットという前代未聞の形で現れた。 盗賊の篭る根城を目の前にしているこの時に、兵たちが職務放棄では軍として成り立たない。 哨戒する兵もなく陣の中が静まり返っていれば、早晩盗賊どもに異変を感づかれる。 それなのに、麗しの司令官殿は何も打開しようとせず、司令官用の天幕にこもって出てこない。
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