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「私は此処には存在しないのです」
と、現在此処に在る私の口で嘯いてみても、それは到底事実ではなく
また、確定ではなく願望が正しい事を
私は知っています
では、
他人に言ってもらったところで、やはり認識がある時点でその事象は成り立ちません
彼が言うには
『僕は貴方<キミ>と一緒に在りたい』
「ああ、それは違う」
私は彼との相違に涙を流しながら否定します。
私は、彼でありたいのです。
一緒ではなく、一つで 在りたい の です
―私の全てが砕けて微細な粒子となり
君に交わり
再び形成されたならどんなに良いか
私の存在など塵も残さず
代わりに君の存在が二人分になるなら
それ以上に素晴らしいことはない―
つまるところ、私がしたいのは
己の存在の否定であり、
自我の否定であり、
同時に
彼の絶対的存在の肯定にすぎません
けれども、
私はその願いが叶う事はないと知っているので、せめてもの思いで彼に寄り添い続けるのです
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