十字架

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「嘘つきめ!」 「お前なんて死んで当然だ!」 「神にでもなったつもりか!?」 「まったくだよ!」 「ほんとよ!」 「あいつは人間のクズだ!」 太陽が丁度真上にくる頃、中央広場に集まった民衆は口を揃えて叫んでいた。 その矛先はイエス・キリスト。 死刑台となる十字架の前に、イエス・キリストは死を目前にしてもなお、両手を広げ堂々と立っていた。 一部のキリスト信者はその姿を見て拍手した。 「医者を必要とするのは丈夫な者ではなく病人です。私は正しい人を招くためではなく、罪人を招くために来たのです!」 イエスは民衆に向かって叫んだ。 「私は皆の罪を洗い流すため、この世に舞い降りた!」 イエスが一言言うたびに民衆はヤジを飛ばした。 「…私の目的は、羊(人間)が命を得て、またそれを豊かに保つことです。私は、良い牧者です。良い牧者は羊のために命を捨てます!」 そう言い終わるとイエスは十字架に向かって歩きだした。 横に立っていた二人の死刑執行人は、イエスを十字架に押さえつけた。 「私は必ずや戻ってこよう!必ずや蘇って見せよう!」 イエスは押さえられながらも必死で叫んだ。
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