いち

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春風がひゅうと吹く。 若草色の草が揺れて、あたしの頬をすぅっと撫でる。 春の花の、ふんわりとした香りが鼻をくすぐった。 あぁ~。 今日も良い天気だなあ~。 あたしは前足を前に伸ばし、思いっきり伸びをした。   え、あたしが誰かって? あたしはね、 「あぁー!にゃんこだあ!」 「お日様の香りがするぅ。可愛い猫ちゃんだねっ。」 そうです。 あたしは、にゃんこです。 最強や絶世の美女でも、遠い未来から飛ばされて来た女子高生でもありません。 何処にでもいる黒猫です。 あ、こんな私でも少しだけ普通の猫と違う所もあるんですよ?  
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