いち

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狼の姿が見えないうちに、あたしは島原へ向かう。 いつも遊んでる子供達や、商人達に無視を決め込んで歩いて来たため、すぐに着いた。 人間達には心の中で、また今度遊んであげるから今は構わないで!って返事はしたけどね。 ぴょんっ あたしは、目的の廓の屋根に飛びのった。 たしかこのへんに… この前来た時に道があったはず… そして、屋根から店内へと忍び込み、そっと、そーっと物音をたてぬ様に歩く。 こ、この緊張感が堪らないっ! 屋根裏を進んでいる途中、全身黒ずくめの人間を見つけた。 ちょっとー!ここは、あたしの縄張りだよっ! 本当は威嚇して追い払いたかったけど、店主や下男に見付かると厄介なので小声で言った。    
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