いち

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………………。 男は全くの無反応でした。 ねえねえ! あたしの声聞こえてる? 引っ掻いちゃうよ? あたしは必死に男に話しかけたけど全くこっちを見ないし、ぴくりとも動きません。 ―っ!!!!! それは同時に起こりました。 あたしが男を引っ掻こうとすると下の部屋から、 「っし!上になんかいるぞ!」 と、野太い声が聞こえたと同時に、あたしは男に思いっ切り床に投げ出されていた。 天井から落下しながら見た男の綺麗な顔には、三本の引っ掻き傷が出来ていた。 「なんだあ、ただの野良猫じゃねえか。」 「!すっ、すんまへん。お侍様!」 「まあいい。今度また、壬生狼の話聞きに来るから頼んだ。」  
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