ファースト・ストライク

野球部

聖タチバナ学園。この春俺が入学した高校。

偏差値は上の中。埼玉県内ではかなり高いランクの高校に属し、東大合格者も年に二桁出している。六大学合格者まで幅を広げるなら卒業生の三分の一にまでのぼるそうだ。

ただ、そんな学校カラー故かあまり部活動は盛んな方ではない。創立からほぼ一世紀にあたる現在まで全国大会出場歴と言えば八年前のサッカー部で、それも不祥事やらインフルエンザやら怪我人やらで上位校がことごとく壊滅した結果のタナボタ出場にすぎない。一回戦ではさして有名ではない高校に０―１７という記録的な大敗を喫した。それもそのうち６点はオウンゴールというおまけつきで。

そんな高校だから、部活──わけても運動部目当てでの入学者など希少種中の希少種だ。

いや、「だった」が正しいか。まあまだ珍しいことに変わりはないものの、それでも俺を含めある部活に関しては(少なくとも今年は)さして珍しい話ではない。

野球部に関しては。