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若干脅し気味で秋斗に問いただすと、渋々理由を話し出した。
「へぇ…新しく作った通常科の生徒が少ないから私を生徒に迎えた、と…?」
「…うん…」
どうしてそこで私を態々転校させるかは腑に落ちないが、一応理由は分かった。
これ以上叔父を問いただすと、ぐずり出しそうなので止めておこう。もうこの際キッパリ諦めるさ。
「…それで、叔父様。学校と私のこれからについて教えて欲しいんだけど」
溜め息混じりに言えば、秋斗は顔を上げて目を輝かせる。
「うん!柳(ヤナギ)く~ん持ってきて~♪」
「…はい…」
秋斗が呼ぶと隣の部屋に繋がる扉から、穣にそっくりな人が出てきた。
手に持っていた物を秋斗に手渡す。
「…穣さん?」
「私の秘書の柳君だよ。兄の秘書の穣君とは双子なんだ。ね?柳君」
「………」
双子…通りでそっくり。黙って頷く柳さんはまるで無表情な穣さんだ。穣さんのニコニコ顔を思い出して見比べた。
「はい!これが生徒カード。生徒カードは食事とか部屋に使うから、なくさないようにねっ?もしなくしたり、困ったりしたら直ぐに叔父様の所においで!」
「あー…はいはい」
秋斗のテンションが鬱陶しくなって小夏は適当に返事をする。それでも秋斗は満足そうだ。
その後、粗方にこの学院についてと自分のこの後について話を聞いた。…時折話が脱線した為、理事長室から出た時は既に夕刻だった。
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