寮で捕まりまして

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  「…ちょっとしたホテルか?」 聳え立つ?寮を目の前に、秋斗の話を思い出しながら小夏は呟いた。 二つの建物が四階の渡り廊下で繋がり、西棟は通常・特進科生徒用、東棟は特別科生徒用。…例の別名財閥寮だ。 小夏の部屋は西棟の602号室で、通常は二人で一部屋だが今のところ一人らしい。 「先ずは寮長に挨拶か…」 半目になりながらも小夏は寮に入った。 チャッチャラチャラチャチャ♪ チャッチャッチャ~♪ チャッチャラチャラチャチャ♪ チャッチャッチャ~♪ 「…………」 どうしてこんな曲が流れる…。 小夏は寮長室前でチャイムを押した格好のまま固まっていた。 てっきり、ピンポーン。みたいな音がなると思っていたらとんだ間違いだった。…もしかして自分の部屋もこんな音か?…それは勘弁してくれ…。 「はいは~い」 ガチャ 暫く固まっていたら、中から声が聞こえてドアが開いた。 中にいたのは、前髪をチョンマゲに縛った癖のある茶色い短髪で、両耳に赤い石のピアス。少し垂れた目が特徴的な人だった。 「何で固まっとんの~?」 「あ、は…はぁ…」 「それよりキミは噂の転校生君~?名前は駒宮夏樹やっけ~?俺は望月亮(モチヅキ アキラ)ゆうねん、よろしゅう~」 「はぁ…まぁ、そうですけど…………何故、裸?」 望月は首にタオルをかけて上半身裸で立っていた。結構ガッチリしている…ではなく。何故に裸?思わず固まってしまった。
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