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コクりと亮は頷き、小夏の頭に手を置いた。驚いて顔を上げると、亮はニッコリと微笑んで
「なんや、困ったことがあったら俺んとこ来ぃや~。何でも相談乗ったるで~」
小夏の目線の高さにしゃがみながら、頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
亮のその微笑みは普通(一般人)なら鼻血ものだ。…エロすぎる。しかし、そこら辺ちょっと疎い小夏は、少し意外そうな顔をして
「…はい、ありがとう亮先輩!」
満面の笑みを返して、一礼してからその場を去った。
「…ええもん見させてもろたわ~」
亮は一瞬驚いた顔をしてから、小夏が去って行った方を見てニマッと口許を上げた。
「あぁ…鬘ぐしゃぐしゃ…」
小夏は階段を登りながら、先程亮に撫でられた頭を触り呆れたような声を出した。
頭を撫でられて少し子供扱いだったけど、初めてこちらに話せる人が出来て(叔父は論外)さっきは嬉しかった。…亮先輩優しかったな…。
「うん!頑張ろう!!」
何についてとは言わないが、小夏は拳を握って気合いをいれた。
「…にしても、この状況で六階は流石にキツい…」
今日、色々と精神疲れをした小夏は何時もなら楽々登れる階段の量だが、六階につくとダルい疲れを感じる。
この寮にはエレベーターがあるのだが、乗ったこと無いエレベーターは何と無く不安で、小夏は結局乗らずに階段を選んだ。
「はぁ…だらしない。鍛えが足りないな」
明日から鍛え直さねば。そう呟きながら、小夏は自室の前に来た。
生徒カードを取り出し、秋斗に言われた通りにドアノブの上にある隙間に差し込む。ピッと音がし、赤い光が緑になると小夏はカードを抜き、そっと扉を開けた。
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