寮で捕まりまして

10/12

658人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
  「一緒に寝ても…」 「よし、隣の部屋が空いているからそこを使え。俺は“一人で”寝る」 その目で見詰められた小夏に拒否する選択肢はなかった…ので、言葉を遮り状況が悪化する前に目を反らす。 何故か不満そうな視線を感じる気がしたが、小夏は無視して自分の部屋に入った。 バタン… 先程は段ボールの山に気をとられて気付かなかったが、部屋の中には大きめのシングルベットが置いてある。 小夏はそこに疲れた身体を預けると、直ぐに重たくなった瞼を逆らわずに閉じる。 数分もしない内に部屋には規則正しい寝息が響いた。 ――――――…… 「ん…」 (ここ、は……?) まだ少し眠たい目を擦りながら開けると、ぼんやりと見慣れない景色が目に入った。 そうだ…自分は寮に来たんだった…と思いながら眩しい朝日を背にする為、小夏は寝返りをうつ。 目の前には規則正しく息をする、綺麗な男の寝顔があった。 (…綺麗………ん?誰だ…?……) 「っ!!うぎゃぁぁぁぁぁああっ!!!」 すっかり目が醒めた小夏の悲鳴が部屋いっぱいに響く。 んー…と少し煩そうに唸り、その男…峰岸は目を擦りながら、うっすらと開けた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

658人が本棚に入れています
本棚に追加