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どういうことだ…どうやらこの学院には中学生が僅かしかいないらしい。
それは湯月の言うことを信じる、信じないではなく、周囲の反応を見れば明らかだ。
でもここは…
「ここは確か、中学高等学校じゃないんですか?」
目を見開いたままで固まる峰岸では話にならないと思い、小夏は相変わらずニマニマしたままの湯月に聞いてみる。
本当はなるべく話したくないのだが…何となく感じが悪い。第六感ってやつだ。
「んー…まぁ、そうなんだけどねぇ~。“理事長の志向”っていうかー…とにかく中学生は凄く成績が良くないと入れないんだよん。この学院♪」
…ブチッ
「ふーん…へえー…そうなんですか…」
何かがブチ切れた音が聞こえ、少し俯いた小夏は、ふーん…へえー…をボソボソと繰り返す。
前髪に隠れてその表情は見えないが、小夏は不吉に口元だけで笑っていた。
まだ聞いてないことがあったとはねえ…。後で締め上げて、何もかも吐かせてやる…覚悟しとけや…叔 父 様…?
そんなことを思って。
そんな小夏の不穏な空気を感じ取ってか、否か、峰岸が心配そうに話しかけてきた。
「…大丈夫?」
「…ん?何がだ?」
「…様子、おかしかったから…」
なでなで…
そう言って、小夏の頭を撫でる。
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