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この後はどうすれば良いんだ?と小夏が札を握り締めながら思っていると。…そのまま席で待っていれば、ウェイターが持ってきてくれる。と峰岸が教えてくれた。
…致せり尽くせりだな。
と言うわけで、小夏は峰岸に手を引かれて、二人は奥の方の席に座る。
野次馬達は興味が薄くなったのか、大分量が減ったが、まだ遠巻きにこちらを見てくる生徒がちらほらといた。
峰岸がここに来たくない理由が分かった気がする…。
「…で。何故、湯月先輩がそこに座るんですか?」
当たり前のように、同じテーブルの向かいに着いた湯月を、小夏は半目で見た。
あんまり一緒に居たくないのだが…。
「……去ね」
小夏の隣では峰岸が湯月を睨みながら、ぼそっと不吉な単語を呟いた。
その左腕はがっしりと小夏の右腕に巻かれている。
「んーいいのいいの、気にしないで~。俺の事は空気だとでも思ってよん♪」
「無理です」
「即答!?」
ニマニマしながら話す湯月に小夏は即答して、絡まる腕の先を見ると短く嘆息した。
一体何なんだこの人(湯月)は。と言うか、何なんだここ(の学院)は。
一々、キャラが濃すぎる。
朝だというのに既に疲れた小夏は、この学院に来たことに今更だが後悔した。
ああ、ボロい学校が懐かしい。
「はいは~い。ラブラブな二人に質問♪」
「…去ね」
「………何ですか…」
行きなり挙手をして話し出した湯月。
冷たい峰岸の言葉は聞かなかったことにして、嫌々だが小夏は話を聞くことにした。
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