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その時、運ばれてきた定食の味噌汁を口に含み、小夏は湯月が口を開くのを待つ。
うむ。美味しい。
峰岸のオムライスも運ばれてきていて、峰岸はそれに、一緒にきたケチャップで落書きをしていた。
なになに?……う、うさぎ!?
まさかの、兎を真剣に書く峰岸に不意打ちをくらい、小夏は噴き出しそうになる口を瞬時に押さえる。
そんなことお構いなしに、峰岸が兎を書くのは当たり前なのか、湯月はノーリアクションで口を開いた。
「二人はどれくらい仲がいいのぉ~?」
兎を書くのに満足した峰岸が、オムライスを口に運ぶのを見ていた小夏は、湯月の質問に出遅れた。
これが大きな誤解を生むこととなる。
「…一緒に寝た」
「ぶふぅっ!!」
先に答えた峰岸の発言に湯月は噴き出した。
口には何も入っていなかったが、よほど衝撃が強かったらしく、湯月はごほごほと咳き込む。
「だ、大丈夫ですか?」
「………」
心配して声をかける小夏に対し、峰岸は湯月を無視してオムライスを口に運ぶ。
「も、もうそんなとこまで…確か、昨日来たはずなのに……」
勘違いした湯月の妄想が膨らむ。
「何か言いました?」
「ううん、大丈夫~。何も言ってないよん♪転校生さん、シュウちゃんが言ってる事ってホント~?」
不思議そうに首を傾げる小夏に、湯月は普段道理に振る舞って本当か確める。
「ん?ああ、本当ですけど。俺の場合は不可抗力ですね。気が付いたら一緒でしたから…」
「…む、無理矢理な展開!?気が付いたら一体化!?」
「はい?何か言いました?」
「いいいや、何も~」
勝手な解釈で更なる誤解が生まれるなか、峰岸がオムライスを完食する。
平然と質問に答えていた小夏も、まさか有らぬ誤解を受けているとは露知らず、焼魚を口に運んだ。
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