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ぶつぶつ呟いて悶えている湯月に、無言で腕を絡めてくる峰岸。
食べにくいので峰岸に止めるよう言いながら、小夏は朝食を完食した。
湯月はこの際、無視することにする。
「じゃぁ、先輩。俺はこれで失礼します。部屋の片付けとかしなくてはいけないので。…峰岸、お前はどうするんだ?」
「…片付け、手伝う」
「…もう勝手にしろ」
峰岸から離れることを諦めた小夏は、ため息混じりに呟く。
何故やら、気に入られてしまったらしい。
未だ悶えている湯月を放置して、二人は食堂を後にした。
「あ、あれ?二人は…?」
「「やっふ~。朔夜!」」
暫くして漸く我に返った湯月の耳にユニゾンする二人の声が入ってきた。
とたん、食堂が喚声に包まれる。
「キャーッ!!」
「錦織ブラザーズだぁぁぁ!!」
「聖くん今日も可愛ーいっ!!」
「抱かせろー!!」
「新くーんっ!!大好きー!!」
一部変な声も混ざっているが、これは日常的光景だ。
この二人…双子の兄、錦織聖(ニシキオリ ヒジリ)と弟、錦織新(ニシキオリ アラタ)が来ると、峰岸よりさらに凄い奇声が響き渡る。
何回聞いても五月蝿いそれに、湯月は耳を押さえた。
「聖に新じゃん。今日は一体何の用~」
湯月の質問に二人はテンポよく答える。
「今日はねーっ!」
「情報通の朔夜に聞きに来たんだよ」
「「転校生のこと!!」」
「……あ、ごめん。もう一回言って」
耳塞いでたら聞こえなかった。
真顔で手を離した湯月の腹に、新の拳がクリーンヒットしたのは余談である。
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