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「ところで職員室も寄らずに来てしまったが…大丈夫だろうか?」
「…問題ない」
「うん、大丈夫でしょ♪だってクロリーだし~」
(クロリー?)
担任に会わなくていいのか?と素朴な疑問を抱いた小夏。
なんせ、夏休みと言う中途半端な時期に転校してきたため、そこらへんがよく分からない。
湯月の言ったことに“?”を浮かべながらも、小夏は二人の言葉を信じることにした。
何故なら、峰岸がくっついて離れないし、そのために移動が面倒だからだ。
(ま、いっか)
意外とアバウトな小夏だった。
「んじゃー時間だし~始業式行こっか~。クロリーは宛になんないしねーん♪」
そう言ったっきり、動こうとしない湯月の様子だと、どうやら一緒に行くつもりらしい。
湯月は相変わらず苦手だが、小夏は深く考えずに集会場へ向かうことにした。
だが、動けない。
ちらりと横目で見れば、その原因…背中から覆い被さったまま、肩に顎を乗せて動く気配のない峰岸が湯月を睨んでいる。
なんなんだ?
それを容赦なく、効果音にビリッと言う音が付きそうな勢いで引き剥がして、小夏は歩き出した。
廊下に出て暫くしたところで、教室の中を振り返る。
「………集会場…の場所を教えてくれないか…?」
小夏は少し恥ずかしそうに目をさ迷わせて呟いた。
――――……
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