手紙が届きまして

5/5

658人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
  「では、そろそろ参りましょう。御時間になります」 「あ…その…」 「小夏ーーー!!!」 穣さんの言葉に小夏が渋っていると 「雄輝(ユウキ)!」 幼馴染みの小野田雄輝が走ってきた。 このド田舎の中学校は全校五人、小学校も兼ねて十三人。その中で唯一同学年の雄輝は小夏の悪友的存在だ。 「小夏!転校って本当だったのかよ!?」 「あぁ、東京の閏月学院と言う所に行くらしい。私も昨日知った」 「き、昨日知ったって…お前の親御さん又とんでもないことを…」 「はは、全くだ…」 急なこと過ぎて皆にちゃんと挨拶もしてない…それが少し気掛かりで先程、小夏は返事を渋ったのだった。 (お前だけでも見送りに来てくれて嬉しいよ…絶対言わないけど) 「雄輝…見送りありがとな」 「あ、あぁ。たまには帰ってこいよ!!」 「それが全寮制らしくてな。中々帰れんようなんだ…まぁ、ちょくちょく電話するよ。七海達にも言っといてくれ」 「そうか…分かった」 眉を下げる雄輝に苦笑いしながら、時間が迫ってきた為私は車に乗り込んだ。 「では、参りましょう」 出発して窓から外を覗くと雄輝が何か叫んでいたが、私には聞き取れなかった…。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

658人が本棚に入れています
本棚に追加