学校につきまして

4/7

658人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
  「…終わりました」 一人ぶちぶち文句を言いながらも着替え終わり、小夏は穣の元へ戻った。 ブレザーを着こなし、小夏の妖艶な紫の瞳はカラコンで黒くなり、肩まである紫黒かった髪は耳が出るくらいのストレート黒鬘で隠れている。 「…この鬘、前髪が長くて邪魔なんだが…眼鏡伊達だし」 目下までくる長い前髪を掻き分けながら、赤縁伊達眼鏡の横をツイッと中指で上げる。 「小夏譲は何を着ても御似合いですね。前髪でしたら此方のピンを御使いください」 「はぁ、どうも…」 紫黒のヘアピンを差し出しながらニッコリサラッと言う穣に若干照れ臭さを感じながらも、この格好だと世辞でも微妙だな、と小夏は苦笑した。 「では、小夏譲はここから理事長室に御向かいください。私共はこれから寮の方に御荷物を御運び致します」 「え?荷物運んでくれるのか?それくらい自分でやるが…」 小夏は車から降りながら穣に言うがこれは私共の仕事ですので、とやんわり断られた。 その後、手渡された学院内の地図を見て、無駄に広!!と文句を言ってから小夏は理事長室に向かった。 「本当…全てが無駄に豪華だな、この学院は…何故階段の手摺にこのような装飾が施される!?」 前の…先日まで生徒だった中学校と見比べるまでもない。階段を登りながら、これは何処ぞの城だ!!と叫びたくなるくらいだ。あっちが犬小屋に思えてくる。 「はぁ…」 持て余してる金を少しくらい向こうに寄付してやってくれ…
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

658人が本棚に入れています
本棚に追加