メイドになりますか?

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桜の舞う季節は春…。 作者がこの物語を書き始めているのは梅雨明け(そんなのは聞いてない?)。 そして少女がチラシに書かれた地図を見て歩いているのは…桜が散る頃だった。 彼女は今年、高校を卒業した。 普通の人間ならとっくに大学・仕事が決まり、慣れてくる頃。 彼女は違った。 少女の名前はアンジェリーク・フラン。 通称アンジェ。 髪はセミロングで栗色の髪。 顔は小顔で可愛い雰囲気。 肌は日焼けをしていないのか、少し色白。 表情は鋭く、近寄りがたい雰囲気がある。 いや、緊張の表情なのだ。 実は今から仕事の面接。 チラシにはこう書かれていた。 “メイド・執事求む” 今から1週間前…。 「残念ながら不採用になりました。」 「そうですか…」 アンジェは、ありがとうございました、と言い電話を切った。 自然とため息が漏れる。 なかなか仕事が見つからない。 友達はみんな進路が決定して高校を卒業していった。 要するにアンジェは、今の“不況”にのみ込まれていた。 見た目には不備はない(主人公は大抵美人)のだが、能力的に問題だった。 家事系なら何でもできるが、学力が乏しかった。 天真爛漫な性格が裏目に出た。 しかし、学力が乏しいと言っても大学へ行けないほどではなかった。 なぜ就職か…。 「ただいまぁ~」 アンジェは玄関の扉を開けた。 「あらアンジェ、遅いじゃないの。仕事はどうなったの?」 「ねーちゃん、お帰り~!」 「ねーちゃん!見て見てー、僕のテスト!」 「お姉ちゃん、おかえり。」 「腹減ったよぉ、ねーちゃん。」 「あーぁうー!(おかえり)」 実はアンジェの家は7人家族の母子家庭(笑)。 必然的に就職への道しかなかったのだ。 「仕事は不採用だったよ。はいはい、ただいま。何、テスト?72点?頑張れ。今からご飯作るから待ってなさい。」 一番下の子の頭をわしゃわしゃ撫で回しながら返事をした。 父親はだいぶ昔に母親と離婚した。 なのに一番下の子はなんと今3ヶ月! この子は今母親が付き合っている男性との恋人。 何で結婚しないの?とアンジェが昔に質問したところ、 「お母さんはずっと恋愛をしたいの。」 と言っていた。
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