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扉の正面にある階段から、男性が降りてきた。
「あー、いらっしゃい。貴方がアンジェリーク・フランですね?」
ゆっくりとソフトな口調と、優しい表情。
坊っちゃん刈りの頭(要するに普通)。
どこからどうみても温厚な性格なのが見て分かる。
「は、初めまして。アンジェリーク・フランです。き、今日はよ、ヨロ、ヨ…」
完全に緊張であがってしまったアンジェを見て、少年がくすっと笑った。
「あぁ、アンジェリーク、そんなに緊張しなくて大丈夫ですよー。さぁ、こちらへ来てください。」
ルヴァと呼ばれた彼は階段を上がって行った。
「ほら、アンジェリーク。行こっ?」
少年は相変わらず手を繋いだまま。
アンジェは連れていかれるままその場所に向かった。
「さぁ、こちらですよ。」
ルヴァは扉の前に立ち、その扉をゆっくりと開けた。
中の部屋は薄ピンクの壁紙に、ほんわか赤いカーペット。
大きな窓ガラスにテラス付き。
お姫様が眠るようなレース付きベッド。
大きな化粧棚にタンス。
そして何より広すぎる部屋…。
「ここが貴方のお部屋になりますねー。」
ルヴァは澄ました顔で話し続けた。
「こちらのほうにはクローゼットもあるんですよー。」
パカッと開けて見せて、そのあと部屋の中をウロウロしながら説明をしている。
「あのー…」
アンジェは思わず挙手をする。
「どうしましたか?」
ルヴァはアンジェのほうに向き直った。
「私…ここに暮らすことになってません…か?」
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