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「あのな、これは―――」
「桜火!!女子の制服は裸エプロンでいこうぜ!!」
刹那腰を屈め腕を引く。
この日私は人には限界があるということを再認識し、渉はその報いを一身に受けた。
後に板橋渉が語った内容はこうである。
『あいつの怒りの琴線がどこにあったかは知らないけどさ、あれガード不可だって。パンチ見えないんだぜ!?なんか杏がクラッカージャブねとかいってたけどほんとにそんな感じでパンパン音が鳴ってたんだよ!えっ?クラッカーじゃないの?フリッカー?』
沈黙した馬鹿を床に転がして改めて二人に話しかけた。
「私のこれは直そうと思って直せるものじゃないからな」
「フリッカージャブのこと?」
ちなみにフリッカージャブとはいわゆるジャブの一種で普通のジャブが肩の前からまっすぐ打つのに対して、 これは腕を鞭のようにしならせて、手首を利かせて打つ。角度があるため相手から見えにくいというものである。
「…性格のほうだ」
「まあ確かに桜火が杉並君みたくなったら大変だよねえ」
あれはなろうと思ってなれるもんじゃないだろうに。
「ところでその杉並は?」
「私の依頼をこなしている筈だ」
なにやらこちらをじと目で見てくる二人。
「なんだその目は?」
「エッチな本を頼んだの?」
「あーんなのやこーんなのが丸見えなやつ?」
「なっ…!」
落ち着け御神楽桜火!クールになれ!
相手は女しかも花咲と雪村の悪戯好き二人組み!まともに相手などする必要はない!!
深呼吸兼溜息をひとつつき心を落ち着かせる。
「…阿呆が、次の時間も会議に使いたいので杉並に交渉を頼んだんだ」
「…手段は?」
「再起不能にはするなと言っておいた」
「大丈夫なの?それ…」
会話が止まる。
三者一様に不安になるのだった。
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