鴨頭の剣士…

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鴨頭の剣士…

『……と言うのが、今起こってる現象です』 黒澤は女性患者を連れて、山辺と綾崎が休んでいる病室へと戻り、今起きている現象についてできるだけ分かりやすく説明した。 『…ごめんなさい、良く分からない』 『いえ、無理もありません、こんな事は普通の生活上では有り得ないですもの』 黒澤は目の前に座る女性患者に、微妙な笑みを浮かべた、もしかして自分は説明が下手なのかしら…などと思いながら。 『う…黒澤部長…』 と、後ろから名前を呼ばれたので振り向くと、やや苦しげな表情でベッドから起き上がった山辺が居た。 『山辺さん、目が覚めましたか』 『ええまあ…何か気分は良くないけど』 お腹に手を当て、胸焼けでもしているような顔をする。 『霊薬の副作用かしら、強い分だけ何かあってもおかしくはないですが』 『ちょ…ビビらせないで下さいよ』 山辺は頬をひきつらせながらベッドから立ち上がる、と同時に負傷していた左腕を動かした為に、鋭い痛みが走った。 『が…!!!~~っ!!』 『何をしてるんです、動かしてはなりませんよ』 黒澤はベッドからシーツを取り上げると、魔術具を入れてある鞄から取り出した「ホワイト・ハンドレット・ナイフ」で、なるべく長く細目に切り裂き、間に合わせの包帯を作り、山辺の左腕に巻き付け、骨折した時のように固定して肩からぶら下がるようにした。 『これで如何です?』 『…こりゃ楽ですね、ちょっと巻きすぎな気もするけど』 ゆうに倍は太くなっただろう、左腕を見下ろしながら山辺は答えた。 『仕方ないでしょう、きちんと固定する為には医師でないと無理ですわ』 黒澤はホワイト・ハンドレット・ナイフを鞄に戻しながら、山辺の言葉に苦笑いをして答える。
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