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『…見かけは同じだな』
俺が「道」から出てきた所は、オカルト研究部の備品が入っている荷物を運び込まされた、倉庫のようであった、つまり俺が「アサメイ・オブ・ビーナス」の力で「道」を切り開いた時に入った場所である。
周りには元の倉庫と同じく…様々な清掃に使う道具類やバケツ、各種洗剤が置かれた棚がある、床に描かれている魔法陣も同様だ、ただ、ドアの下の隙間から、得体の知れない「赤い靄」が流れ込んできており、床の上を漂っているので、うっすらとしか見えないのだけど、これが「異界」を維持する為の支点となる一つらしい、「アサメイ・ビーナス」に宿る「龍神の分霊」の話では、元の世界にも通じる魔法陣らしく、破壊すれば今居る「異界」に閉じ込められるらしい、だから今は手を付けない…いや、付けられないと言った方が正確だ。
『とりあえず、こちらに居る筈の霧島さんや黒澤さんと、合流しなくては』
周りを見回すのを止め、倉庫から出るべく、出入り口のドアへと歩みを進めた、その時…
ゴッ。
倉庫から出る為の出入り口まで後、2~3歩と言う所で足に弾力のある「何か」がぶつかった。
『…何?』
相変わらず「赤い靄」がユラユラと床の上を漂っているので、下を見ても「何か」は直ぐには見分けられなかった、なので俺は「アサメイ・ビーナス」を口に加え、両手を自由に使えるようにしてから、膝をついてしゃがみこみ、床に漂う「赤い靄」の中に手を入れ、足にぶつかった「何か」に触れて探る事にした。
『……………』
俺はその「何か」に、慎重に手を近寄らせてゆく、もちろん…何なのか分からないので、初めは指先でつつき、動かないのを確認してから手で全体を触れるようにして、確認していった。
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