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『………そう言えば霧島先輩はどこに?藪崎は見つかりましたか?』
病室の中を見回した後、山辺は黒澤に訪ねた。
『いえ、まだです』
『え?じゃあ探しに行かないと…って、綾崎先輩?何があったんです?!』
自分の隣のベッドで死んだように眠る綾崎を見て、更に黒澤へ訪ねる。
『それは…「敵」にやられたと思います』
『「敵」に?…また妖魔が出たとか?』
『ええ、霧島さんと、救援に駆けつけて下さった、木村さんが応戦して倒して下さいました』
『霧島先輩と、彼氏の木村さんが…やりますなぁ』
「ほほぉ」と言った表情で感心した素振りをする山辺。
『「彼氏」ですか、霧島さんが居たら、また騒ぎ立ててますね…』
黒澤は藪崎に関する質問を、霧島や妖魔に関する方向の話題へと逸らし、山辺の意識を藪崎へ向けないようにした。
『ところで、2人はどこに?』
『分かりません、霧島さんも木村さんも…妖魔を倒して間もなく、姿が消えてしまったのです』
『ええっ!?じゃあ、早く探しに行かないと、なんでここでジッとしてるんですか?』
『気を失っている綾崎さんや、こちらの患者さんを病室に置いたままでですか?もし妖魔が襲撃してきたら、2人は対抗する事はもちろん、逃げるのも無理なんですよ?』
『あ……』
山辺は「そうだった!」みたいな表情をしながら、開いている右手で頭をポリポリと掻いた。
『この部屋には「結界」は貼ってありますが、何事も用心に越した事はありません…合間があるなら、きちんと準備して、いざという時に直ぐに動けるように準備しておきましょう。
『分かったです、黒澤部長』
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