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山辺が頷いたのを見ると、黒澤は床に置いていた鞄を、再びベッドの上に持ち上げ、鞄を開いて中身を払拭し始めた。
『これは…う…ん…いえ、やはりこちらでしょうか』
と、ぶつぶつ独り言を言いながら、鞄に手を入れて中を漁りまくる。
『ハートやダイヤが多く余っててもイマイチ使い道がな…、攻撃に使えるスペードやクローバーは…まだ余裕はあるか』
山辺は懐からトランプの束を取り出して、四種それぞれに分けて残数を見る、ハートやダイヤは全く使っていないので問題ないが、攻撃に使えるスペードやクローバーが、先の妖魔との戦いで何枚か消費している、まだ余裕はあるが、長期戦または連戦になれば、アッサリと使いきってしまうだろう。
そして準備を始めてから、約20分後……………
『これで準備は万端ですわ』
様々な魔術具、魔術武器を身に付けた黒澤がそう言って、丸イスから立ち上がった。
彼女が身に付けたのは、聖別された上着…黒澤が「簡易聖衣」と呼んでいる、教会の神父などが着用する法衣を、マントのような物から、着やすいようジャケットのように「衣服」の形へと変えた物だ。
オカルト研究部の部員達が着ているのは、一般的な服を「聖別」したものでしかない、それと比較すると、霊的な防御効果は軽く倍以上は強い。
更に彼女の腰のベルトには「ホワイト・ハンドレット・ナイフ」、バックルのようにベルトのつなぎ目には五芒星が刻まれた「ディスク」を、聖衣の右ポケットには「ケーン」、左手の指にはアメジストの指輪を嵌めていた。
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