鴨頭の剣士…

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「突き」を出し、やや前に重心が偏ってしまい、技後硬直してしまった霧島さんに、妖魔の前蹴りが打ち込まれる。 『きゃあ!』 小さな悲鳴を上げ、ドサッと言う音を立てながら、霧島さんは後ろへと倒れた、もちろん妖魔の蹴りは、彼女の肉体にではなく、霊体に命中している筈だが、だからこそストレートに苦痛を味わう。 霧島さんは俺と同じく、シルバーリングを指に嵌めており、その防護があるので、その「痛み」は軽減されるから、まだ「少し強めに殴られた」程度だろう、俺も「剣」で切られたが「苦痛」で済んでいるのは、そのおかげ…丸腰ならば、先の一撃で霊体が切り裂かれ、あまりの痛みにショック死しているかもしれなかった。 『霧島さん!くそっ!』 俺は先ほどの「痛み」の余韻に耐えながら、立ち上がってアサメイを構える。 【ほう、立チ上がれるか?よかろう、来イ!】 鴨頭の妖魔は、再び俺に攻撃をするべく剣を構えた。 『しっ!』 俺は「アサメイ・ビーナス」の緑の霊光刃を、奴の「首」目掛けて突き出す。 【ふっ…】 奴は嘲けりを交えて鼻で笑いながら、先ほど霧島さんの攻撃と同じように、頭を振って避ける…が。 シュ…ドシュ!…バシィィィ!!バリバリ!! 【ぐっ!ギャアアアァァッ!!】 妖魔の「みぞおち」に、緑の霊光刃が突き刺さり、同時に凄まじい赤い雷光が、奴の体内から表皮に致まで、舐め尽くすかのようにして全身を駆けめぐる。 今の俺の攻撃は、簡単なフェイント技だ、相手に見切られやすい顔から胸にかけての「突き」を繰り出し、相手が先読みして回避した所で、急激に「下斜め」に「突き」の向きを変えただけ、だが既に相手は「回避できる」と判断してるので、こういった「攻撃の途中で起動を変える」攻撃に、ついてこられない。 俺は赤い雷光に焼かれ、体中が黒くなってゆく鴨頭の妖魔から「アサメイ・ビーナス」を引き抜いた、だが妖魔はまだ倒れない、2歩ほど後ろへと下がってから、俺は手持ちにある「クリスタル」を2つ投げつけた、この距離でなら、さすがの俺でも当てられる。 バキッ!ビキャン! 妖魔に命中した「クリスタル」は、2つとも触れると同時に砕け散り、光を一瞬だけ放って妖魔を部分的に焼いた。
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