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『お願い…た…助けて』 1人の女性が魔法陣の上に転がされていた、その女性は「肉塊」の妖魔に襲われ、木村翔の指示で一階へと逃げていった、あの女性患者であった、彼女の手足は治療に使われる包帯やテープを何重に巻き付けてあり、とても緩めたり、引きちぎれるような状態ではない。 『助けて?…助ける理由が無いな、あんたは生贄に使わせてもらうんだし』 魔法陣の外で黄色い紙の束を整理していた若い男が、まるで今日の朝ご飯は何かな?…のような、気軽で明るい口調のまま答えてくる。 『い…生贄?!な…なんで!そんな事をしてどうすんの!』 『あんたには分からないだろうが…生贄ってのは、その生命力をもって妖魔や悪霊を喚ぶ「餌」なんだ、生贄の人間や動物が死んだ時には、凄まじい生命エネルギーが放出されるんだが、それを利用する、安心しな…妖魔を呼び出した後の残り滓は、俺の相棒が余すところ無く食い尽くしてくれる』 『………ああ……あ…』 女性は藪崎が何を言ってるのか、半分も分からないが「生贄」と言う言葉だけは意味が分かる、つまり自分を殺す気だと、目の前の男は言っているのだ。 『いやぁぁぁぁ!!!!』 女性は叫ぶと、手足を縛られた状態でもなお、無理やりに体を動かして、魔法陣から逃げだそうとする。 ドスッ! 『あ゛……っ……………』 叫び声を上げていた途中、鈍い音と共にその声は中断された、藪崎が女性の背中…ちょうど心臓の当たりをめがけて、大振りの刃物を投げつけ、命中したからだ… 背中に黄金の輝きを放つ刃が突き立ったまま、女性は魔法陣の中で動かなくなり、そしてジワジワと血が溢れて、円陣の中に血だまりができて行く… 『やれやれ、五月蝿い女だな…さて、殺したついでにさっそく「喚ぶ」とするかね』 藪崎は血だまりになっている魔法陣に踏みはいると、ニチャ、ヌチャと靴に血の糸を引かせつつ死体となった女性に歩み寄り、背中に刺さっている黄金の刃…生贄の血を求める邪神か宿った魔術武器「トゥミ」の柄を掴み、死体から血糊で汚れた金色の刃を引き抜いた。
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