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身を起こした妖怪が不気味な声で低く鳴く。
「へえ、私とやるつもり? いいよ、どうせ勝つのはこの私だけどね」
不敵に笑った少女が飛びかかる妖怪を優雅にかわし、杖を下から上に動かした。しかし、攻撃はさけられ間合いが開く。
少女はその瞬間を見逃さずに、動き封じの札を投げた。妖怪の動きがとまると、杖を掲げて陰力を呼び寄せる。
「漂う闇の気よ、対象を縛れ」
黒い霧のようなものが妖怪を包み込む。苦しそうに呻き声を上げ、そうして気絶した。
「遅いな、陽弥(ヨウヤ)」
片手を腰に当てた少女が表情を苛立たせた。
女性はためらっていたが狩衣の少女に声をかける。
「あのう……」
少女は声をかけられて、やっと女性がいたことを思い出したのか微笑んだ。
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