第一章 陰陽力使い

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身を起こした妖怪が不気味な声で低く鳴く。 「へえ、私とやるつもり? いいよ、どうせ勝つのはこの私だけどね」 不敵に笑った少女が飛びかかる妖怪を優雅にかわし、杖を下から上に動かした。しかし、攻撃はさけられ間合いが開く。 少女はその瞬間を見逃さずに、動き封じの札を投げた。妖怪の動きがとまると、杖を掲げて陰力を呼び寄せる。 「漂う闇の気よ、対象を縛れ」 黒い霧のようなものが妖怪を包み込む。苦しそうに呻き声を上げ、そうして気絶した。 「遅いな、陽弥(ヨウヤ)」 片手を腰に当てた少女が表情を苛立たせた。 女性はためらっていたが狩衣の少女に声をかける。 「あのう……」 少女は声をかけられて、やっと女性がいたことを思い出したのか微笑んだ。
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