思い出したくはない

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「葉月ー。 この後のパート練なんだけどさー」 楽器庫で自分の楽器の手入れをしていると、部長の美咲が話しかけてきた 中学に入って、美咲に誘われるまま吹奏楽部に入部した私。 今年の先輩との最後の夏は関東大会で終わった 先輩達のやりかたは、私は追いつくのが精一杯で、何の不満もなかったけれど 上を行く美咲にしてみれば、怠けて騒いで、 酷い有様だったようで 先輩が引退した今、美咲だけがこの部活を引っ張っているようなものだ 「低音が使えないんだよ。 なんとかして」 私はサックス。バリトンサックス。 低音楽器で、この部活では木管の最低音で、全体的に見ても、低音に属している 「ごめん。ちゃんとやる。」 「あんたがやるんじゃないの! チューバのあいつがちゃんとしないのがダメなんだって!!」 フルートを握りしめて愚痴始める 「もーもーもー!!あいつなんなの? 馬鹿なんじゃないのー?!」 チューバの元(はじめ)は美咲とつきあっていた そのせいか、美咲は言いたい放題だったし、それでもちょっと嬉しそうな美咲が羨ましくもある 「もう少しで県大会でしょ? このままじゃ全国大会なんて無理だもん。」 「全国大会…」 「行くでしょ?」 「もちろん」「へへっ葉月ならそういうと思った! あたしね、葉月が副部長で良かったよ!」 「突然何?!」 「なんとなーく。 今のうちに言っておかないとって思って 忙しくなるじゃない? あたしは本気で全国行きたいし、その為に、練習きつくするつもりだし 暴走して葉月に酷い事言っちゃうかもしれないけれど、でもあたしは葉月が副部長だからいうんだよ?」 突然で、なんて答えようかと思った 嬉しい。心から嬉しい。 大好きな、憧れの美咲から認められた気がしてすごく嬉しくて 期待に応えられるように練習ばかりしていた
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