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「ねぇ、少し訊きたいんだけど、大鬼って呼ばれる位の力を得るには何年位必要なの?」
「うん? 個体の適性と、吸血量やらによるけど………大体、二年位かな。そこまで放置されてるなんてあんまり考えられないけど…」
「…二年……ね」
玖未の顔が硬く、張り詰めたモノになる。
「……どうした?」
異変に気が付いた郁哉が心配そうに問う。
「…ううん……こっちの話……何かね、郁哉が私の知らない事まで知ってるから驚いただけ」
「……ん? …ああ、師匠に習った」
「そういえば、あの小刀も師匠からだっけ?」
「小刀っか、刀子な。大差無いけど……」
「あの術式、禊には無い術式なのよ」
「あーだろうな。禊の関係じゃ無いからな」
「……? だって、解呪式を使えるのはウチだけよ」
「いや、師匠は解呪式を研究して、自分で導いたらしい。ベースは禊の式らしいけど…」
「……そんな人間がいるなんて……」
前代未聞。と言った顔をする彼女に対して、
「まぁ、眉唾みたいな話だと思ったけど、一応、使えてるしね……」
と彼は刀子を出して、紋様を眺める。
「…刀子、貸して貰える? 研究したい」
「駄目」
「……っく」
研究意欲の塊に化した、玖未に対して、郁哉は
「とりあえず、捜してくれ。気配も薄いし、見付けるのは大変だろうけど…明日になったらヤバいかも知れない」
「……うん」
玖未は頷いた。
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