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「そういえば月雫に願う事って何? 私は晴に逢う事を願うつもりだったの」
「……願いは無い。ただ、俺は力が必要なんだ」
「…それを呑むつもり?」
「ああ。月雫自体は単純な力の結晶だ。月の気が液体と個体の間の状態にあるモノ…だから、別にそれには呪いは無いんだ」
「そうなの?」
「呪いがあるなら、人間の願望を叶えたりはしないよ…呪いによって月の気の影響を受けやすくなる、でも月の気は人体に悪影響があるから、自然に額に集まり結晶化する。それが月雫。鬼の力もそれで強化されるけど、呪いの無い人間にも同じ作用はあるんだ。まぁ、小壜一杯で大抵の願望は叶うような強力なエネルギーだから量を間違えれば、人間の体なんて崩壊するだろうけど……。そういや、禊は大瓶があるんだろ? 百年位貯められた」
「うん……それにしても、技術はともかくとして、その知識、どこで手に入れたのよ?」
「……まぁ、師匠からの知識だよ」
「私も知らない事を聞くと落ち込む」
という玖未の呟きに郁哉は肩を竦めた。
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