プロローグ①”空蝉”

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今日は久しぶりにこの場所にやって来た、休日に傘を差しながら…。 休みなのに運がないね?と思う人も居るだろう、しかし僕はいつもこんな日を…雨の日を選びこの場所に足を運ぶ…。 周りの景色は立ち並ぶ冷たい石ばかり、そんな道を登り歩き僕は一番上にある石を目指す。 やがて一際大きい桜の木の下にヒッソリ佇む一つの石に辿り着く…。 その石には文字が書かれている…「…」 そう…ここは、ある町に在る小さな霊園…そしてこの石は最愛だった女性の名前が書かれた墓標… 僕はわざわざ雨の日を選び此処に足を運ぶのは、彼女は雨の日が好きだったから…雨の日の思い出を抱き締めて此処に僕はやって来る。 けれど彼女は此処には眠っていないのだ…。 ここは”空蝉の墓標…” そう… からっぽなのだ。
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