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幼稚園の頃での朋子は俺のシャツの袖を掴みながら俺についてくる程に内気なヤツだったのだが…
「それでさ~大和♪バイトの事なんだけど?」
いつ頃からか常に俺の前を歩く様になっていた。
俺は朋子に聞こえなうように…
「生意気だ!」と呟いた…
だが、俺がこの高校に受かる事ができたのも朋子が熱心に教えてくれたからであり、俺は朋子に頭が上がらない…少しでも機嫌を損ねると…
いや…思い出すのは止めよう
気付くと冷や汗をかいていた…
「ちょっと~大和!!聞いてるの!?」
俺は…ふと我にかえる。
「ああ、聞いてるよ、それで…バイトは決ったのか?」
俺は慌てて朋子に応える。
「ええ、明日の夜からね」
彼女は悪戯っぽく微笑む。
「??」
俺は何故朋子が微笑んだのか分らない仕草を見せた。
「ヘッヘー、大和もバイトしてみない?」
嬉しそうな顔をして朋子が語り出す。
どうやら朋子のバイト先でもう一人募集しているらしく、いつもフラフラしている俺と一緒にバイトして監視するそうだ…
「って…おいおい!」と俺
俺は嫌な顔をしたのだろう…朋子は…。
「気にしない気にしない♪」
「試しに、ネッ!?♪」
笑顔の中に真っ直ぐな目
「分かったよ…いつ行けばいいんだ?」
と俺は渋々首を縦に振るのだった。
そんなやりとりをしている内に気が付くと校舎正面まで来ていた。
掲示板の前に人が集まっている。
俺もその輪の中に入り
「クラス分けか…」
すると朋子は
「同じクラスだと良いよね♪」
俺にピッタリくっつきながら小声で囁いた
その言葉をスルーしつつ俺は頭の中で…
【やっぱり朋子は鈍感だ……冗談じゃない…!小学校で6年!中学で3年!9年間も同じクラスでベッタリされて…付き合ってるの?とか聞かれたり…告白した娘にも、彼女いるのに最低とか言われ…高校でも繰り返しは御免だぜ…!】
俺は掲示板に目を向ける…1-A…1-B…1-C…1-D…1-E…1-F………!!
「げ…!!」
俺は思わず声に出してしまった…
「ん~?!何が?げっ?な・の・か・し・ら!?」
朋子はニコニコしているが迫力のある笑顔で俺の腕を軽くつねりながら言った。
「いやいや…!!朋子と同じクラスをゲットって言ったんだ!!」
俺はすかさずフォローをいれつつ、もう一度クラス分け掲示板を見直す……
1-F、柏木 大和、白瀬 朋子…
「そう?なら…よろしい♪」
朋子も確認したのか俺にフォローを入れた。
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