戦慄

3/7
前へ
/316ページ
次へ
ジルは規則に煩い。朝は六時までに起きろとか、家に帰ったら勉強をしろなどウィングに散々言ってきた。 小さい頃から母親は規則に煩い人だと、インプットされている。 今では息子の為を思い煩くしていた。その事をしっかり理解している。 そうこう考えながらバスルームへ入った。 水道の蛇口を捻り水を出す。冷たい水で顔を洗うのは、気持ちよく気分がしゃきっとなる。 柔らかいタオルでウィングは顔を拭く。 ぼっと正面の鏡を見つめた。 乱れた茶色の髪、瞬く水色の双眸。容姿はよくも悪くもない。至って普通だ。 十四歳を過ぎて特に十三歳の時と同じである。何か変化を求めている訳ではなかったが。 乱れた髪を手櫛で整え、焦る心情を抑えてキッチンに向かう。 少年はドアノブを捻り開けた。 すると風に乗っていい香りがここまで漂う。 自然に生唾が湧く。自分の中で特にミルクシチューは、好きな部類に入る料理だ。
/316ページ

最初のコメントを投稿しよう!

924人が本棚に入れています
本棚に追加