戦慄

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「嘘でしょう。シャルクワール首相が……」 暫くの間、時が止まってしまったかように、誰も微動だにせず長く重苦しい沈黙が続いた。 ウィングは現実がこんなにも、残酷だと感じた事はない。心が嘘だと頻りに叫んでいる。 沈黙を破った者は、まだ現実を受け入れられないグレスだった。 「取り敢えず…ニュースを見よう」 テーブルに置いてあるリモコンを手に取り電源をつけた。 どの番号にしても、首相暗殺事件の話題で持ち切りになっていた。 レポーターが国会議事堂を背景に立っている。首相が暗殺されたという、現在分かる範囲の報道をしていた。 未だに暗殺事件の犯人は見つかっていない。明らかに誰かの意図によって首相が殺された。 それは朧気ながらも確かな事実であると、ウィングは考えずにはいられなかった。
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