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空はどんよりと曇っていた。太陽が分厚い雲に覆われている。
空気は鉛のように重く感じられ、何かをする気が起こらない。ウィングは開いた窓から広大な空を眺めていた。
視線を時計へ走らせて溜息を吐く。
「はぁ……」
顔を洗わないと朝食に間に合わない。ベッドから下り急いで部屋を出た。
階段を下りる足音は騒がしい。急いで駆けていた為に、勢い余って何もない階段で躓き、床に膝を打ちつけた。
「痛っ…い」
思わず呟いても痛みは当然消えてくれない。
今日は確実についていないなぁ。
その時、キッチンのドアが開かれた。
姿を現したジル・クローラが鋭い口調で言い放つ。
「朝から騒がしいわよ!!」
「……済みません」
反射的にウィングは謝り、母親から目線を逸らしてバスルームへ向かう。
先程打った膝は不運にも打撲してじんと痛む。
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