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その瞬間、改築したばかりの綺麗すぎる体育館から拍手喝采が巻きおこった。
俺はにこやかな表情を浮かべ、礼をする。
さすが姉貴だ。よくもまぁこんな上っ面の当たり障りのない受けが良いいかにも“新入生代表挨拶”の文面が思い付くものだ。
俺はこうゆう下らない無意味な挨拶の内容など考えられない。
思ってもない事を文章にするなんて苦手過ぎて吐き気がしてくる。
だがあの野郎……スピーチの原稿書いてこいとか抜かしやがる。
そこで俺がこの学園に受かった(かなりの確率で受かるとされていたが。)“入学祝”として姉貴に新入生代表挨拶のスピーチ原稿代筆を依頼。
あの女に関しては後々恨み辛みがかなりあるが、ひとまず代筆してくれ、しかもこんな完璧な原稿を書き上げたのだから、ここは感謝するべきだろう。
……いやそもそも入学祝が原稿代筆っておかしいだろ………
――――後にその事を高崎抄という少し(いやかなりか)変わった男に指摘される事になる。
確かに後々世間的に見て考えればそうだが、それはまだ高崎があの女の本性も生態も何も知らなかったから言えたことだ。
あの女は見返り無し、無償で(要するにタダで)自分の時間を他人の為に使うという行為をしない人間だ。
だが愛想だけは良い。かなり良い。それ故本性を知った人間は97%の確率で離れていく。(※本人談)
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