1、学年一位

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高校生の頃、一部の生徒は本性を知っていて、ついた裏の異名が『微笑みの堕天使』。ちなみに表向きの異名は『アラビアの美しき佳人』だったらしい(意味不明) ……もう…皮肉なんだかなんだか…… そんな女に代筆を頼み、微笑みながら『原稿料は入学祝ね。』と言われ、抗議出来る者がいるだろうか。 無理だ。例えばだが、あの女と裁判になったとする。確実に負ける。目に見えている。 目に見えてるのに勝負をわざわざ挑むのは俺の主義ではない。(本音は単純に面倒なだけだが) 『あぁ。分かった。』そう頷き、幼い時から姉貴に叩き込まれた合理主義により、俺は大人しく依頼した…ちなみに入学祝、パリにいる母親からは万年筆が送られてきた。 確か母親から万年筆を贈られるのはこれで三回目の様な気がしたが、スルーしておいた。 このブランドがかなりお気に入りらしい。(まぁ柄が若干違うし、全く同じものを三回贈られるよりかはマシだな。) ちなみに入学式前日夜はは完璧な“新入生代表挨拶”を何度も練習させられ、姉貴はビデオカメラまで用意していた。 仕事で帰国出来ない母親にスピーチの様子を撮影し、送りつけるらしい。 全くご苦労な事だ。
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