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「だがな立川。挫折感というものは、俺にも経験がある。それには様々な形があるだろう。信じ続けていたものが現実と違っていた時、それも一種の挫折だ。なにか壁にぶち当たり、乗り越えられなかった時、それも挫折だ。」
(……………コイツは何が言いたいんだ?)
「また、何か一つのものをずっと守り続けてきた、が…それがある時奪われた…それも挫折だ。お前は、その挫折感をまさに味わっている。それが今だ。」
………コイツは基本的にはいい奴なんだが、時々突然突拍子もないような持論を並べ立てては、俺を困惑させる時がある。
それが今だ。
「立川………これで投げやりになってはいけない。お前には未来がある。やり直しなんかいくらでもできるんだ。」
説教なんだかアドバイスなんだかよくわからない。
(つーか日本語おかしくね?…)
高崎はまるで甲子園準決勝で敗退した野球部員を見るような憐れむ顔で俺を見つめ、慰めているつもりなのか肩を二回ほど叩く。
なんなんだコイツは。
「なぁ…高崎、お前の意味不明の言葉は有り難う。だが…………あの結果表間違ってるみてぇだからさ、先生に言ってくるわ…」
高崎の若干鬱陶しい手を肩から払いのけ、疲労感でふらつく足を動かし、俺は職員室に向かおうとする。
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