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――ちょっと時間は過ぎたけど、私には今でも鮮明にくっきりと……、言い過ぎた、やや形を持って覚えている記憶がある。
そう。
奴の事だ。
人間の頭というのは、便利そうで便利でないのは諦めが付いているが。
何故、あの記憶を、あの時の奴の輝きを、私は覚えているのだろうか。
もっと、もっと時間が経ってしまえば、更に言えばボケが回る歳になってしまえば忘れてしまうのだろうか。
そして、そんな結果になってしまうのが、溶けかけた雪を見たときのように寂しいのは何故なんだろう。
その事を考える度に、私は人体の不思議とか神秘さを解き明かしたくなってくる。
――とか回想みたいな事をしてみたけど。
これが回想なのかどうかは疑問に思うだろうけど、ひとまずその事は置いて……。
私はそろそろ、この浅い眠りから目を覚まそうかと思う。異存はないよね?
もう少しで、聞き慣れたアラームが鳴る。
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