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「ん…。」
椅子の足が床と擦れる耳障りな
音で再び目が覚める。
ゆっくりと体を起こし
周りを見ると
教師の姿は既に無く
周囲の生徒も騒がしく雑談をしていた。
「(やっと終わったー。)」
ぐ、と背伸びをして欠伸を堪える。
「由祢ちゃーん。
お昼食べよう。」
「華(はるか)ちゃん。」
開きっ放しの扉から1人の女生徒が
由祢に声を掛ける。
「また…。」
「なんで小原さんみたいな人が
逢沢なんかと一緒なんだろ…。」
2人の様子を見てぼそぼそと耳打ちしている
生徒には一瞥もくれずに
由祢は華のもとへ向かう。
「あ、今日はなーちゃんもいるんだ。」
「よす!!」
華の隣には黄緑色の髪をした
少女が立っていた。
少女は桜苗(さなえ)と名付けられた、
華に「内在する魂が実体化したもの」
だった。
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