tune2.

8/8
前へ
/36ページ
次へ
「(華ちゃん…、なーちゃん…。)」 華はお弁当最後のおかずを その口へ運び お弁当箱を片付け始めていた。 「自信が無いんだったら 今度私のお父さんに検査してもらおうか? 調律適性検査。」 「つ、司さんに!? いいよいいよ、忙しいでしょ!?」 焦った様にぶんぶんと首を真横に振る 由祢を見て華はそう、とほほ笑んだ。 つられたように桜苗もにっと笑う。 「じゃ、私行くね。 ばいばい由祢ちゃん!」 「ばいばーい!由祢ー!!」 「うん、また明日のお昼ねー。」 学園長、小原司の娘でありながら Aクラス所属、最優秀成績者の小原華と その相棒の後ろ姿を見送りながら 由祢は溜め息をついた。 「(まだあたしにはチューンパートナーも いないのに、才能なんて…。)」 個人に内在する魂が実体化したもの、 チューンパートナー。 調律師は自らのチューンパートナーに 備わった能力を知り、 その力を引き出し使うことで 初めて呪魂に対抗することができる。 無論、チューンパートナーを 持たないものに調律師になる資格など 得られる訳が無い。 「(Aクラスの生徒の極一部しか チューンパートナーは持って無いけど…。 あたしに、チューンパートナーなんか。 いないに決まってるのに。)」 ぐ、と拳を握り目を瞑る。 「(…チューンパートナーいるんなら、今あたしはBクラスになんかいないよ。)」
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加