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彼とは たわいのない 会話ばかりしてた
アタシが 君に 恋してるって 気付いてる?
でも さすがに 好きとはいえないけど…
言葉を 行動に うつせないまま
交流キャンプが 始まった
「美月、これ持って」
小学校から 仲良しの
五木 愛
彼女と一緒だから なんとなくで この高校に 入った
「…あっつ…」
梅雨だと言うのに…
雨も降らず 32度の気温
アタシは 眩しい太陽を 手で 隠した
「た~なか。貸してみ。持っちゃる」
聞き慣れた 声に 胸が 反応する
「あ、ありがとう」
二人並んで 目的地の 台所へ 向かう
この瞬間 ずっと 続けば良いのに…
「あのさ、田中」
会話を切りだしたのは 彼だった
「え…」
足を止める
今、なんて 言ったの?
「俺、お前が好きなんだけど…」
聞き間違い?
「…迷惑…だよな。ごめん、忘れて!行こうぜ」
空笑いしながら 再び 歩き出す 彼
言わなきゃ、アタシの気持ち!
早く 言わなきゃ!
「あ、アタシも!」
やっと出た言葉に 彼が振り向く
「アタシも…好き…」
心臓が 大きく 波うつ…
騒いでる生徒の声も 聞こえない
まるで この空間に 二人だけだった…
「田中ッ!」
手に持っていた荷物を 放り投げ 彼が アタシを 抱きしめる
アタシも 力が抜け 荷物を 落とす
「ご、ごめん!嬉しくてつい…」
彼の笑顔に 思わず 笑う
「あ~ッ!!」
甲高い声に ビクッとし お互い 離れる
愛だった
「何してんのよ!高橋?…あ~あ。また洗わなきゃ」
愛が ため息をつく
「…アタシ、洗って来る!ごめんね」
アタシは 慌てて 拾い集めると 二人を あとにした
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