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「そうか……。済まないな。本来なら直樹に出て行ってもらうのがいいんだが、アイツは少し頼りないとこがあるからな」
「別にいいよ。俺的にも一人暮らし出来てラッキーだし」
「ん? 一人暮らしじゃないぞ」
「は? どーいう事だ? まさか親戚んちで居候とか言わねぇよな? そんな条件なら俺は出てかねーから」
親ならまだしも、他人から生活を制限されたり掻き乱されんのはまっぴらだ。
「いやいや、親戚の家じゃあないよ」
「じゃあ何処だってんだよ?」
「それがな~。さっき飲み屋で会ったじぃさんと意気投合してな。そのじぃさん、散々飲んだ後に財布を忘れたって言い出したんだ」
「は? それが何だってんだ?」
薄々、親父が言い出しそうなことを気付くが、不機嫌さと否定したい気持ちを込めて言う。
「そのじぃさんにな、詳しくは話していないが息子達が揉めていてどうすればいいか酔った勢いもあって相談したんだよ」
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