1339人が本棚に入れています
本棚に追加
/136ページ
冬休み。
雪がちらつき、肌をさす寒さの中。
俺は瑞穂に誘われて出掛た。
「最近、葵と上手くいってねーんだろ?」
勘のいい瑞穂には、話さなくてもバレている。
「知ってて誘ったのか?」
瑞穂の考えは読めた。
こんな寒い中、男と遊んでも面白みなんて何もない。
逆ナン目当てで俺を誘った訳か。
「まーねー。女は葵だけじゃねーじゃん」
瑞穂はピースを手で作り、何度か折り曲げた。
「ったく。お前、桜高の女と付き合い出したばっかじゃん」
「あ、あれ。もう終わったー。なんつーか、頭悪ぃんだよ」
「お前が言うな」
突っ込むと瑞穂は大口を開けて笑った。
それから当ても無く歩く。
街を歩けば、何人もの女に声をかけられる。
別に珍しいことでもない。
声をかけられて悪い気はしないが、気が乗らない。
瑞穂は誘われるがままに着いて行こうとするが、その度に俺は適当に断った。
「隼人~。いい加減決めようぜー! 次! 次に可愛い子だったら俺は絶対に引かねーから」
.
最初のコメントを投稿しよう!