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俺だってこんな寒い中、瑞穂とただ歩いているだけはつまらない。
だからって声をかけてくる女と遊びたいとも思わない。
葵と形ばかりだけど付き合ってるから……そんな理由に縛られている訳でもない。
同じ退屈なら、俺に何かを求めない瑞穂と2人の方が気が楽だ。
葵は俺に、もっと沢山の愛情を求める。
元々、愛情なんて無いに等しいのに、これ以上どうしろというんだ。
「ねー、あたしら暇なんだけどぉ~」
「悪い。俺ら忙しいんだ」
また声をかけてきた女の言葉を最後まで聞かず、俺は冷たく言い放った。
「おいっ!! お前やる気あんのか? けっこー可愛かったじゃん」
瑞穂がふて腐れて文句を言う。
「お前の眼、ちゃんと開いてんの? どこが可愛いいんだよ」
「葵と付き合ってるから隼人の女選びのレベルが上がってんだよ」
確かに瑞穂の言う事に一理あるが、葵も他の女も同じに見える俺には見た目なんてものは大した問題じゃなかった。
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