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「美味しかったらお店の名前をメモしたり、見た目が綺麗だったら写メ撮ったり。沢山、沢山食べたよ」
「うん」
僕は相槌を打ちながら、ソラの横顔が曇っていくのを感じる。
「食べながらね、総司が作ったらもっと優しい味になるんだろうなって」
「うん」
ソラは赤ワインに口をつけ一口飲む。
僕もグラスを回し、同じように一口飲んだ。
「研究もね、最初は凄く楽しかったよ。もちろん今も楽しいし、幸せ。幸せなのに……幸せじゃないの」
「……うん」
ソラの眼に涙が溜まり、零れ落ちる寸前になっている。
夜空に瞬く星のように、ソラの瞳の中の涙も瞬いている。
「アメリカに行くと決めた時も、アメリカに来てからも、大好きな宇宙の研究に打ち込めるって迷いなんてなかったのに」
ソラは僕の方に顔を向け、溜まった涙を溢れさせた。
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